暗記

暗記

受験と暗記。このテーマはこれまでにいろいろな形で議論されてきました。今から10年余り前に、和田秀樹氏が「受験は要領」という本の中で「数学は解かずに解法を暗記する」と述べていました。氏は、灘高の1年生の時成績が低迷し、成績1番の同級生の勉強のやり方を観察されたそうです。成績1番の同級生の勉強法は暗記に徹するというものでした。氏は、それで開眼し、その後成績はうなぎのぼりに向上して大学は東大の理Ⅲに合格されたのです。和田氏が述べているように、氏が勉強に開眼する以前も勉強をされてきたにもかかわらず、成績がよくなかったこと、暗記中心の勉強に変えて成績が飛躍的に伸びたというこの点がポイントです。要するに氏は、開眼される前も勉強をされていたけれどもその勉強は成績に反映しなかったのです。

暗記と野口悠紀夫教授

和田氏の勉強法と同じ意見を持たれるのが野口悠紀夫教授ではないでしょうか。野口教授の「超勉強法」はベストセラーとなりました。「暗記」でなく「記憶」と呼ぶほうが正しいかもしれません。勉強の目的・ゴールは何でしょうか。そうです、本に書いてあることを自分の頭に叩き込むことです。それを本を読んでいきながらできるなら、本を読むことに重点を置いて勉強していけばいいでしょう。(読書だけで成績のいい人はごくまれです。天才か、さもなくば小さい頃から理解して覚えながら読書する習慣が身についているすばらしい人です。)しかし、本を読んだだけでは内容を頭に叩き込めないという人は読書だけではだめなのです。工夫が必要です。

暗記

内容を暗記することに決めれば、下記にようになります。

  • (1)やること(勉強法)がはっきりするし、
  • (2)ゴールも明確になり、
  • (3)どのぐらい自分の頭の中に叩き込まれたかをチェックすることも簡単にできます。
  • (4)暗記なら自分ひとりでこつこつできます。

少々孤独になりますけれど、とかく私たち、勉強とは本を読むことだと思っています。しかも本を読めば自分の頭には入ってないにもかかわらず、勉強したように錯覚してしまう、ここが落とし穴です。自分だけでなく周囲にも勉強をしていることをアピールできます。しかし、内容を理解して保持できなければ読んだ成果は上がりません。時間の無駄になってしまうのです。その意味で、暗記法は画期的な勉強法です。ただし、私の経験から暗記法にも限界があるような気がします。例えば、英語の勉強を例にとって考えた場合、ボキャブラリーが最も難しい壁となりますが、はたして英和辞典を1冊丸暗記することが可能でしょうか。それをやった人がいるという話を聞いたことがあります。やろうと思えばやり遂げることはできるでしょう。しかし、一度暗記したらそれを保持するために定期的に確かめをしなければなりません。その確かめに要する時間が膨大になってしまいます。

暗記の弱点

要するに暗記法の弱点は、

  • (1)暗記するのに時間がかかるということ
  • (2)暗記できる範囲(量)に限界があること
  • (3)絶えず確かめをしなければならずそれに要する時間がかかる

ということです。

暗記と講義

世の中にはハードスケジュールで勉強している人がいます。小中学生に多いのですが、学校で夕方まで授業、夕方から夜遅くまで塾で授業講義。深夜まで勉強。しかも勉強のほとんどはノート作り。本当に大変ですね。これではいつ勉強できるのか心配になります。「いつ勉強できるのか」って?朝から深夜まで勉強しているではないかといわれるかもしれません。しかし、勉強は暗記です。暗記していないと試験で何も書けません。講義をいくら受けても暗記していないと駄目です。サブノートを何冊作っても暗記しないと意味がありません。テキストを変えても駄目です。暗記していないと1点もとれません。

暗記と理解

もちろん、理解することは前提にあるのですし、そのために講義を受けているのでしょうが、暗記のない理解というものは意味がありません。暗記していなくて何を理解しているといえるのでしょうか?いけないのは、意味も分からず丸暗記することです。しかし、理解したことは暗記することが必須なのです。いくら理解しても、暗記していないと1点も取れないのです。

暗記と理解2

逆説的に言うと暗記なくして理解はありえないと思います。私も講義を受けたりしていますが、講義の説明も前提知識がないと全くわかりません。「不法行為の使用者責任は報償責任なんですね。」という説明があったとしても、報償責任とは何かわかっていないと理解できませんし。学校の化学の授業でも、Hが水素、Oが酸素などということはもう知っていることが前提で、いちいち前の知識を復習したりはしません。化学なら例示しやすいけれど、他の科目でも同じです。だから、その講義の受けるための前提となる知識はあらかじめ勉強しておかなくてはならないのです。しかも、さきほどの化学の例でいくと、講師が「酸素はO。」と説明しても、それで暗記できるわけではなく、別に自分で暗記しなくてはならないわけです。理解だけという存在は無く、暗記していないと理解したとはいえませんし、講義を受けるに当たっては暗記している前提知識が必要なわけです。そうであるなら、講義を受けたなら、こんどは新しく講義で理解したものを暗記するのは当然の作業で、暗記してから初めて講義を受けたといえるわけです。後の暗記がなければ講義は受けなかったのと同じです。いくらかの知識は残るかもしれませんが、それでは講義が効率がいいとは思えませんね。

暗記と勉強

ありきたりの見出しで申し訳ないのですが、学力の要素として暗記というものの比重が大きいのは確かです。試験では暗記量がものをいいます。何度も書きますが試験本番では、試験までにどれだけのものを暗記してきたかが問われるのです。勉強は理解している事が大切だと言われますが、本を読んでみて理解していると思っていても、その理解している内容を暗記していないと、試験では何も書けません。特に、数学や法学などの理論科目でいえる事なのです。この点、思考科目は暗記ではないという誤解が学力向上を妨げているケースがあるようです。予備校などの講師に数学は暗記だという人がいるそうですが、それはある意味正解です。結局、何回も問題を解くから暗記できてしまっているのです。

暗記と数学理論

数学理論も、定義、公式、問題に対してのアプローチの仕方など、理解したものを記憶しているのです。語学は暗記ではないというのは正しいです。しかし、それはある程度のレベル以上の話です。英単語を全く暗記していなかったら1点もとれないでしょうし、逆に、英文で全ての単語の意味がわかっていたなら、それほど悪い点数はとれないと思います。文法と言うけれど、それは、短文を、文法を意識して幾つも暗記すると身についてくるのではないでしょうか。文法の公式を理解しただけでは何の役にも立ちませんし、語法の暗記に次ぐ暗記によって文法は身につくと思われます。数学と語学について触れましたが、基本的にはどの科目も同じです。まずは暗記なのです。

暗記と問題集

それと、教科書を読んだあと問題集を解けないという事がありますが、それは当然なのです。どの科目にしても、最初から問題は解けることはありません。最初から自分で解法が分かるのは大学者くらいのもので、一受験生には無理です。私が問題集は、先に解答をよく読んでから解くべき(特に数学、理科)というのはこの事なのです。教科書で理解した理論をどれだけ正確に暗記しているか、それをどのように使うのか、それを覚えておかないと問題は解けないのです。教科書には、理論は載っていますが、それをどのように使うのかは書いていない事が多いのです。しかし、問題集には、それが載っています。それで、問題が解けないときは、先に解答を見るべきなのです。